税務調査ではここを調べられる

 税務署の税務調査が入るケースは様々ありますが、例えば、毎期継続して黒字が出ている法人であれば、5年に1回くらいのペースで税務調査があります。(過去に悪質な所得隠しなどをしている場合等は、もっと短いスパンで調査される場合もあります。)
 中小企業に入る一般的な税務調査というのは、事前に税務署から法人(顧問税理士がいる場合は顧問税理士)に連絡があり、調査の日程を調整した上で訪問してくるので、アポなしで訪問してくることは通常はありません。しかし、現金商売をしている会社については、アポなしで訪問してくる場合があります。(これを現況調査といいます。)通常の調査日程は2日間でそれぞれ10時~16時であることが多いです。
 調査員は、総勘定元帳を基に全ての勘定科目について調査を進めていきますが、調査員が重点的にチェックする項目を以下に列挙します。

 ●売上
  調査員はまず売上を見ます。場合によっては売上だけで調査時間の大半を使う場合もあります。
  請求書・領収書・納品書・売掛表・注文書・受注記録ノートなどあらゆる書類を見て、売上の計上漏れがないかどうか
 を調べます。

 ●期末在庫
  期末の在庫の単価が本来付すべき単価より少なくないか、在庫に計上すべき商品が漏れていないかどうかを、仕入の請
 求書等を基に調べます。期末在庫の金額が本来の金額より少ないということは、その分経費が多く計上されていることに
 なるので、本来納める税金よりも少ない税金しか納めていないことになります。

 ●交際費
  飲食代が誰と何人で行ったか、贈答品代が誰に渡したものか、等を特に金額が大きいものについて調べます。調査員は
 飲食や贈答が社長のプライベートで使ったものではないかと疑います。プライベートで使ったものだと認定されると、そ
 の分については社長に対する賞与を支払ったこととされます。社長の賞与は法人税を計算する上では経費になりませんの
 で、その分法人税が追徴されます。また、賞与に対する源泉税も適切に納めていないことになるので、源泉税についても
 追徴されてしまいます。
  疑われたくない場合は、領収書の裏面にメモで誰と行ったか、誰に贈ったかを記載することをお勧めします。

 ●消費税
  消費税の計算が正しく行われているかを調べるために、消費税の計算の根拠となった資料の提出を求められます。ただ
 顧問税理士がいる場合は、消費税の計算はその税理士がやっていることがほとんどだと思うので、資料もその税理士が持
 っていると思います。よってもし誤りが見つかってもそれは基本的には社長の非ではなく、その税理士の非ということが
 多いかと思います。

 以上の項目は、どの法人にも共通して誤りの多い項目であり、また、誤りがあった場合の金額が大きい場合が多く、調査員としては追徴の可能性や金額の大きいこれらの項目を重点的にチェックします。

 税務調査が終わると、調査員は調査の結果を税務署の上司に報告します。報告の際には証拠となる資料を用いて上司に説明するので、社長に証拠となるような様々な書類のコピーをお願いしてきます。何も悪いことをしていないのに、証拠がないという理由で追徴されてしまうケースもあります。そのようなことにならないためにも、日々の記帳や書類の管理をしっかり行うようにしましょう。


税務調査に関するお問い合わせは、高田馬場の税理士事務所、工藤会計事務所へ。