元プロ野球選手の申告漏れ

 ある元プロ野球選手が税務調査を受け、3年間で計約4,200万円の申告漏れを指摘されたというニュースが最近ネットに載っていました。追徴税額は過少申告加算税を含めて約1,800万円とのことです。
 本来必要経費と認められない生活費などプライベートな支出を、約4,200万円分経費として計上していたようです。

 具体的にどういったものを経費として計上していたかというと、家族との外食費・食料品・高級紳士服・腕時計・女性用アクセサリー・家族旅行・自宅の警備代・衣類のクリーニング代等だそうです。国税当局はこれらを「業務に必要な経費とは認められない」としたようです。この元選手も以下のような主張をしましたが、ほとんどが認められなかったようです。

  家族旅行 →→ 選手として活躍するためのトレーニングが目的
  食費 →→ 厳しいトレーニングのため一般人の2倍以上の栄養摂取が必要であり、食事の支出は「健康管理費」
  衣類 →→ 試合に出る際の移動時に使うから業務に必要な経費

 個人事業主のあらゆる支出が経費と認められるためには、その支出が収入を得るために直接的に関係していることが必要です。今回のケースだと、旅行は家族と行ってるからダメ、食費は個人事業主でなくても誰でも支出するものだからダメ、衣類は移動中以外の普段の時も着るからダメ、ということだと思います。
 しかしこのような支出でも、業務と直接的に関係していることが税務署にうまく説明できれば、経費として認めてくれることもあります。例えば、一週間の家族旅行でトレーニングを5日間やったとして、トレーニングの内容・時間、家族を連れて行った理由、などをうまく説明できれば、自分の分の旅費・5日間分の自分の分のホテル代は経費として認めてくれると思われます。食費にしても、しっかりと栄養管理された献立表を作成していれば、食費の全額とまではいかなくても、ある程度経費として認めることもあると思います。

 税務調査において調査員は、その支出が業務に必要な経費かどうか微妙な場合は、根拠や証拠などを求めてきます。例えば、外食代やゴルフ代で業務と関係あるかどうか怪しまれたくない場合は、領収書の裏面に誰と行ったかメモをしておくと良いでしょう。メモでも何でもとにかく調査員を納得させる材料があれば、大抵の経費は認めてもらえます。

 なおこの元選手は、追徴課税が不服として審査請求をしましたが、国税不服審判所は元選手の主張の多くを退けたそうです。



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