法人化を検討すべき所得の分岐点

 法人化とは、個人事業主が法人を設立して、法人の名前でその事業を継続していくことです。
 個人事業主の中には、他人から法人化を提案されたことがある方もいるかと思います。法人化には様々なメリットがありますが、大きなメリットが「節税」です。


 個人事業主としてどれくらい稼いでいれば法人化を検討すべきかですが、年間の所得(売上から経費を差し引いたもの)が約400万円以上であれば節税の効果が見込めますので、法人化を検討しても良いかと思います。

 ただ、状況次第でこの分岐点は変動するので(事業の種類、扶養親族の状況、青色申告か否か、税理士の利用状況、等)、年間所得が約400万円以上の方は一度税理士に相談するのが良いと思います。

 開業・法人化に関するご相談は、高田馬場の税理士事務所、工藤会計事務所まで。

消費税を納めなければいけない人

 下記のいずれかに該当する人は、その年において消費税の納税義務者となり、翌年の3月末までに消費税を納付しなければいけません。

  (1)前々年の課税売上が1,000万円を超えている人
 (2)前年の1月1日から6月30日までの期間の課税売上と給与等支払額が共に1,000万円を超える人

 (1)の例をあげると、平成25年1月1日~平成25年12月31日の課税売上が1,000万円を超えている場合、平成27年は納税義務が生じ、平成27年1月1日~平成27年12月31日の期間の消費税を、平成28年3月31日までに納めることになります。

 消費税の計算方法は、考え方は簡単で、1年間の売上でお客様からお預かりした消費税から、商品の仕入れや経費の支払いや資産の購入時に支払った消費税を差し引いた残額が、納める消費税となります。
 ただ、日々の取引には消費税が非課税となる取引や消費税の課税の対象外となる取引があるため、専門家でないと間違った判断をしてしまうことも多々あります。


 さらに前々年の課税売上が5,000万円の人は、事前に届出をすることにより、その年において「簡易課税制度」により消費税の計算をすることが出来ます。
 「簡易課税制度」とは、預かった消費税から支払った消費税を差し引いて消費税を計算するのではなく、預かった消費税に、業種ごとに定められた割合を乗じて消費税を計算する制度です。


 原則的な方法により計算する場合と簡易課税制度により計算する場合とでは、納める消費税に差が生じるため、前々年の課税売上が5,000万円以下の人は、事前に消費税の試算をして有利な方を選択しなければいけません。
 なお、この選択は納税義務者となる年が始まる前にしなければいけないので注意が必要です。
 例えば平成27年に納税義務者となる場合、どちらの計算方法を採用するか選択し、簡易課税を選択する場合には平成26年中に税務署に届出書を提出しなければいけません。


 以上のように、消費税は選択や届出期日を間違えると、大きな損をしてしまう恐れがあるのです。

 消費税に関するご相談は、高田馬場の税理士事務所、工藤会計事務所まで。

 

青色申告のメリット

 個人事業主は、毎年3月15日までに、前年1月1日から12月31日までの間に生じた所得金額を正しく計算し、税務署に確定申告をしなければいけません。
 申告の方法については「青色申告」と「白色申告」がありますが、ここではこの2つの概要と青色申告の特典についてお伝えします。


 ◆青色申告
   日々生じる事業に係る取引を、一般の記帳より水準の高い記帳により記録し確定申告をすることで、所得の計算
  などについて有利な取扱いが受けられる制度です。
   青色申告の主な特典は下記のとおりです。


   ◇青色申告特別控除
      日々生じる事業に係る取引を「正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)」に従って記録し作成した損益
     計算書とともに貸借対照表を確定申告書に添付し、確定申告書をその提出期限までに提出した場合、そ
     の年分の所得金額から、青色申告特別控除として最高65万円を控除することができます。
      また、「正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)」によらず、「簡易な帳簿(簡易な簿記)」に従って記録
     した場合は、その帳簿から誘導して貸借対照表を作成出来ませんので、青色申告特別控除として10万円
     しか控除することが出来ません。
      「簡易な帳簿」とは、現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳などをいいます。


   ◇青色事業専従者給与額の必要経費算入
      青色申告者は、生計を一にする配偶者やその他の親族(15歳未満の人を除く。)で、専らその事業に従
     事している人に給料を支払っている場合、その支払った金額を必要経費とすることが出来ます。
     ただし、その給料の金額は、事業の状況などに照らして、労務の対価として相当の金額であることが必要
     となります。


   ◇貸倒引当金
      事業から生じた売掛金や貸付金などの貸倒れによる損失の見込額として、売掛金・貸付金の年末帳簿
     価額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れ、その金額を必要経費に算入することが出来ま
     す。


   ◇純損失の繰越し及び繰戻し
      青色申告者については、事業から生じた純損失の金額を、翌年以後3年間にわたって、順次各年分の所
     得金額から差し引くことが出来ます。
      また、前年も青色申告をしている方は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を前年分の所得に繰り戻
     して控除し、前年分の所得税の還付を受けることも出来ます。


 ◆白色申告
   その年分の所得金額について、「正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)」や「簡易な帳簿(簡易な簿記)」に
  より記録する必要がありませんが、特別控除はありません。
   また、白色申告といえども、収入金額や必要経費を記載すべき帳簿(簡易な記載の方法でOK。)を備え付けて記
  帳するとともに、その記帳に係る帳簿・請求書・領収証などを保存する必要があります。


 

 以上より、青色申告の特典は様々ありますが、特に複式簿記により申告し、65万円の特別控除を受けられる特典は
大きいです。
 およそ「65万円×(所得税率+住民税率)」分の税金が節税されるため、所得税率・住民税率合わせて33%の人で、
年間約21万円ほどの節税になります。


 ご自身で市販の会計ソフトを購入して記帳すれば、ある程度体裁を成した「損益計算書」と「貸借対照表」を作れます
が、ご自身で作成した「損益計算書」と「貸借対照表」を後から拝見すると、間違った処理をしている事が多々あります。
ご自身の事業の売上アップに貢献しない帳簿作成に時間と労力を割くくらいであれば、税理士に全て任せてしまうの
も一つの手だと思います。


 開業に関するご相談は、高田馬場の税理士事務所、工藤会計事務所まで。

 

法人を設立する場合に必要な税務手続き

法人を設立した場合には、法人所在地の所轄税務署・都道府県・市町村へ下記の届出書等を提出する必要があります。

◆税務署へ提出する書類

 ◇法人設立届出書
   法人を設立したら必ず提出する書類です。
    ※提出期限・・・設立登記の日以後2か月以内

 ◇青色申告承認申請書
   青色申告が承認されると、税務上の特典を受けることが出来ます。
   特典の内容は様々ありますが、特に大きい特典は、赤字が生じた場合に翌期以降に繰り越せて、翌期以降の納税
   額を下げることが出来る点です。
    ※提出期限・・・設立登記の日以後3か月を経過した日と当該事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日まで

 ◇給与支払事務所等の開設届出書
   従業員に給与を支払い場合に提出する書類です。
    ※提出期限・・・開設の事実があった日から1か月以内

 ◇源泉税の納期の特例の承認に関する申請書
   給与を支払う場合、従業員から源泉所得税を徴収します。この徴収した源泉所得税は、翌月10日までに税務署へ
   納めなければなりませんが、給与の支給人員が常時10人未満である場合には、この申請書を提出することにより
   年2回にまとめて納付することが出来ます。
    ※提出期限・・・特例を受ける月の前月末日まで

 ◇減価償却資産の償却方法の届出書
   減価償却の方法を選択するために提出する書類です。
   この届出書の提出がない場合には、建物については定額法、その他の主要な有形固定資産については定率法に
   より処理することとなります。
    ※提出期限・・・設立第1期の確定申告期限まで

 ◇棚卸資産の評価方法の届出書
   棚卸資産の期末評価方法を選択するために提出する書類です。
   この届出書の提出がない場合には、自動的に最終仕入原価法による原価法で評価します。
    ※提出期限・・・設立第1期の確定申告期限まで


 

◆都道府県へ提出する書類

 ◇法人設立届出書
   設立したら必ず提出する書類です。
    ※提出期限・・・都道府県によって異なりますので、各都道府県のホームページをご参照ください。


 

◆市町村へ提出する書類

 ◇法人設立届出書
   設立したら必ず提出する書類です。
    ※提出期限・・・市町村によって異なりますので、各市町村のホームページをご参照ください。


 

以上のように、法人設立に伴い提出する書類は様々あります。

法人設立に関するご相談は、高田馬場の税理士事務所、工藤会計事務所まで。