確定申告 誤りやすい事例

 今年もあと約1ヵ月で終わり、来年2月16日からは確定申告の受付が始まります。ここで、確定申告において誤りやすい事例を列挙します。

  1.納税地について
    事業所を納税地とする届出書を提出せずに、事業所を納税地としている。
     →→事業所を納税地とするためには、住所地と事業所の所在地両方の所轄税務署に、その旨を記載した届出書
        を提出しなければならない。


  2.所得区分について
    事業用車両の売却(下取り)損を事業所得の必要経費としている。
     →→棚卸資産に該当しない事業用資産の売却による所得は「譲渡所得」に該当する。


  3.不動産所得について
    事業的規模の貸付けを行っていないのに、専従者給与及び65万円の青色申告特別控除を適用している。
     →→専従者給与及び65万円の青色申告特別控除は、事業的規模の貸付けを行っている場合しか適用されない。


  4.事業所得・不動産所得の経費について
    店舗併用住宅の住宅部分に係る経費を必要経費に算入している。
     →→固定資産税・水道光熱費・損害保険料・借入金利子・減価償却費等を店舗部分と住宅部分に合理的に分けて
       住宅部分については必要経費に算入しない。


  5.減価償却費の計算について(1)
    業務用建物の取得時に支出した仲介手数料を必要経費に算入している。
     →→取得の際に支払う仲介手数料は、購入のために要した費用であり、減価償却資産の取得価額に算入すること
       になる。


  6.減価償却費の計算について(2)
    定率法を選定する旨の届出をせずに定率法を適用している。
     →→届出がなければ定額法となる。


  7.減価償却費の計算について(3)
    税込経理方式を適用している者が、税抜価額を減価償却資産の取得価額として少額減価償却の判定をしている。
     →→税込経理方式を適用している者は、減価償却資産の取得価額は、税込の価額によることとなる。


  8.青色申告承認申請について
    従前から不動産貸付業を営んでいる白色申告者が、本年の7月に事業所得を生ずべき事業を開始したので、その事
    業を開始した日から2か月以内に青色申告承認申請書を提出した場合、本年分から青色申告が認められるとした。
     →→青色申告の承認を受けるには、新たに事業を開始した日から2か月以内に申請書を提出する必要があるが、
       「新たに事業を開始した」とは青色申告の承認を受けることができる業務のいずれも営んでいない者が、い
       ずれかの業務を開始した場合をいうのであって、既に青色承認申請を行うことができる不動産所得を生ずべ
       き業務を行っている場合は含まれない。


  9.青色申告特別控除について
    事業所得が赤字で不動産所得が「事業的規模の貸付け」でないため、青色申告特別控除を10万円としている。
     →→不動産所得が「事業的規模の貸付け」でないが、事業所得がある場合には、65万円の青色申告特別控除に
       係る他の要件を満たしていれば、65万円の青色申告特別控除を適用できる。


  10.社会保険料控除について(1)
    控除対象配偶者である妻の年金から差し引かれた介護保険料又は後期高齢者医療保険料を、夫の社会保険料控除と
    して計算した。
     →→妻の年金から差し引かれた介護保険料又は後期高齢者医療保険料を夫の社会保険料控除の対象とすることは
       できない。


  11.社会保険料控除について(2)
    国民年金保険料を2年分前納した場合、その全額をその年分の社会保険料控除で控除しなければいけないと考えて
    いる。
     →→国民年金を一括前納した場合には、その前納した日の属する年分で申告するか、前納した各年分に分割して
       申告するか選択できる。


  12.扶養控除について
    老人ホームに入居している者を「同居老親等」としている。
     →→老人ホームに入居している者は、同居しているとはいえない。なお、病院に入院している者は、同居してい
       るものとして取り扱っている。


  以上、誤りやすい事例をいくつか挙げましたが、誤りやすい事例はまだまだありますので、判断に迷った場合は税理士に質問することをお勧めします。

  確定申告でお困りの際は、高田馬場の税理士事務所、工藤会計事務所へ。